◆ 第ニ話~チベット本土でのエピソード~(3)

チベット人の心の根底にある仏教

チベット人と付き合っていて一番に感じるのは、チベット人のココロの底辺に仏教の教えがあるということです。仏教というのはお釈迦様が開いた教えです。チベットにはその教えが伝わって日常の生活に生かされているのです。

例えば、チベット人は生き物を殺さない。どんなに人間に害を与える虫であっても絶対に殺すことはしません。蚊でもハエでもただ追い払うのみです。このことは、本当に徹底されています。生き物は昔の自分の父親や母親だったかも知れないと考えているのです。

“始まりの無い時代”から延々と輪廻を繰り返している生き物たちは、たくさん生まれ変わりをしたと考えられています。そのような生まれ変わりの中で、一度は自分の家族であったかもしれない生き物を殺してはいけませんよ、と教えられるのです。ですから、その辺にいるゴキブリでさえもチベット人は殺さないでしょうね。

このようにチベット人の日々の生活は仏教の教えに根ざしています。チベットの街中では、お年寄り達は片手にはマニ車、片手には数珠を放しません。口では「オマニペメフム」と観音様の真言を唱えています。これも仏教の教えのひとつです。  チベットというところは本当に厳しい自然の中にあります。まず標高が高い。満足に野菜や食べ物が育たない土地で、チベット人が大事にしてきた仏教はお寺の中だけでなく民衆の中にも息づいていました。そのようなチベット人の大切にした仏教をラマといわれる仏教者が守って生きているわけです。

日本でのチベット仏教

そろそろ時間ですのでお話を終わりにしますが、今日は「チベットのココロ」と題してお話しました。

チベットというところは世界の屋根、秘境、とか色々言われますが、そこに住む人々は本当に精神性が豊かだと思います。日本にも沢山のよい点、よい考え方があります。しかし、このような忙しい時代で忘れ去られたものもある。そんなふと忘れてしまったような大事なことを、チベットの人から教えられることがあります。

今後、チベットという国が再建されるかどうかはわかりませんが、チベット仏教僧である私ができることは、チベットの大地で脈々と育まれ現在に至るチベット仏教を学び実践することで、日本でなにかしら役立てることだと思うのです。

はじめに
第一話
第二話~チベット本土でのエピソード~

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